鼻炎薬 | 第一世代、第二世代があるの知ってますか?
今日は鼻炎薬についてご案内したいと思います。
まずは市販薬の使用が適当かどうか判断します。
市販薬か?受診か?
市販薬の使用が勧められるのは、風邪などにともなう急性鼻炎と、花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎です。
受診したほうがよい例を検討していきます。
1.常に鼻炎症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ)がある
慢性鼻炎や通年性アレルギー性鼻炎が考えられます。
仕方なく市販薬を使用する場合は1-2週間程度にとどめて様子を見ましょう。軽快しない場合は受診を!
2.鼻水の粘り気が強く、量も多い
副鼻腔炎が考えられます。
抗菌薬や粘液溶解薬など医療用医薬品による治療が適しています。受診を!
3.症状が重度
くしゃみ回数 | 11~20/日 |
鼻水をかむ回数 | 11~20/日 |
鼻づまりの程度 | 非常に強く、口呼吸が1日のうちにかなりの時間あり |
目安ですが表の基準に当てはまるようなら受診した方が良いかと思います。
疾患により避けるべき成分
どの鼻炎薬にも含まれる成分(抗ヒスタミン、交感神経興奮など)によって、病状が悪化する可能性がある状態を検討します。下記の疾患を持ったかたは薬剤師または登録販売者に相談してからの購入をおすすめします。
1.抗ヒスタミン成分により悪化する可能性のある疾患
2.交感神経興奮剤により悪化する可能性のある疾患
・前立腺肥大症などによる排尿障害
・糖尿病
・甲状腺機能障害
・心臓病、高血圧
3.ステロイドを含む点鼻薬により悪化する可能性のある疾患
・患部が化膿している人
・全身性真菌症
・結核性疾患
妊娠・授乳中の選択方法
妊娠中である
胎児への影響が出やすい妊娠初期(16週以内)は、原則として薬剤を使用しない。特に、クロモグリク酸ナトリウムの過量服用は避ける。16週以降はステロイドの点鼻薬が無難であるが、時間が取れるようなら産婦人科主治医への相談がベター。
授乳中である
点鼻薬であれば、説明書どおりに使用すれば問題ない。
セチリジン塩酸塩については母乳を介する乳児リスクも無視できると考えられている(メーカー文書上は授乳中は禁止)参考文献:薬局2014;65:401-8
内服薬or点鼻薬どちらを使えばいい?
・くしゃみや鼻水がつらい
内服薬をメインに選択
・鼻づまりがつらい
点鼻薬を中心に選択
・くしゃみ、鼻水、鼻づまりがつらい
内服薬と点鼻薬を併用
具体的な商品の選び方
鼻炎の症状が軽い場合は、抗アレルギー作用のある第2世代抗ヒスタミン剤(フェキソフェナジンなど)を含む製品の服用を1~2週間続けて、アレルギー反応を起こしづらくする。
一方、ひどいアレルギー症状がすでにみられる場合は、交感神経興奮剤、抗コリン剤、第1世代抗ヒスタミン剤(クロルフェニラミンなど)などを含む配合剤が良い。
1.第2世代抗ヒスタミン剤を配合する内服薬
・ザジテンAL鼻炎カプセル(ケトチフェン単味)
・スカイナーAL錠(アゼラスチン単味)
・ロートアルガード鼻炎内服薬ZⅡ(メキタジン+プソイドエフェドリン+メチルエフェドリン+ベラドンナ総アルカロイド+無水カフェインなど)
・ストナリニ・ガード(メキタジン単味)
・アレジオン10(エピナスチン単味)
・アレグラFX(フェキソフェナジン単味)
・コンタック鼻炎Z(セチリジン単味)
・ストナリニZ(セチリジン単味)
・エバステルAL(エバスチン単味)
2.第1世代抗ヒスタミン剤を配合する内服薬
・ストナリニS
・コンタック600プラス
・コルゲンコーワ鼻炎フィルム
フィルム剤で外出先などで水なしで素早く服用できる
・ストナリニ・サット
口腔内崩壊錠で外出先などで水なしで素早く服用できる
・パブロン鼻炎カプセルS
3.点鼻薬
血管収縮剤に加え、ほぼすべての点鼻薬に抗ヒスタミン剤が配合されている。また殺菌成分が配合されている製品も多い。
血管収縮剤を含む製品は、頻回に使用したり2週間程度の長期に使用すると反跳性の鼻づまりが起きる可能性がある。使用の目安は、3日から1週間程度である。
a.抗ヒスタミン剤を基調とする点鼻薬
・ナザール「スプレー」
・パブロン点鼻JL
添加物にジェランガムを配合しており、噴霧した薬液が鼻粘膜上でジェル化し、有効成分が患部に長くとどまる
・ザジテンAL鼻炎スプレーα
血管収縮剤を含まず、ケトチフェンフマル酸塩のみを配合した点鼻薬。
b.クロモグリク酸を配合する点鼻薬
同成分は、知覚神経に作用して鼻のムズムズ感やかゆみを抑える。
・エージーノーズアレルカットM
c.局所麻酔成分を配合する点鼻薬
痛みやかゆみ、違和感を和らげる
・コルゲンコーワ鼻炎ジェット
・ベンザ鼻炎スプレー
d.ステロイドを配合する点鼻薬
・コールタイジン点鼻a
プレドニゾロンとテトラヒドロゾリンを配合
・コンタック鼻炎スプレー〈季節アレルギー専用〉
ベクロメタゾンプロピオン酸エステルを配合※
・ナザールαAR〈季節アレルギー専用〉
ベクロメタゾンプロピオン酸エステルを配合※
※ベクロメタゾンプロピオン酸エステルを含む点鼻薬は「1年間に1か月を超えて使用してはいけない」という制限があることも注意する必要がある
参考文献
1.日経DI薬局虎の巻シリーズ⑤製品選択のポイントがわかる「OTCメディケーション」虎の巻第3版 日経ドラッグインフォメイション編 泉澤惠監修・執筆
2.今日の治療薬 解説と便覧 改定第3版 編集 中島恵美 伊東明彦